地元にいながら東京の税理士法人で働く~フルリモート社員特別対談~
- MC
- コロナ禍とともにすっかり定着したリモートワーク。コロナ禍は完全に収束したとはいえないものの、多くの企業が行動制限を緩和しつつあります。税理士業界においては、リモートワークを部分的に継続する事務所もあれば、オフィス出社へ回帰する事務所もあります。そんな中、あいわ税理士法人では早期からリモート環境の整備を進めるとともに「地元にいながら東京の税理士法人で働く」と題して、全国の税理士を対象にフルリモート社員の採用を実施しています。本日は、長野県・大阪府(※)・岡山県・福岡県の自宅で正社員として働く『フルリモートワーカー』の4名にお話しを伺います。※現在は大阪事務所に出社勤務
- MC
- まずは、あいわ税理士法人で最初にフルリモート社員になられた坂本さんからお話を伺いたいのですが。
- 坂本
- 私があいわに入社したのは2017年です。もともと品川のオフィスに通勤していましたが、2020年の結婚を機に長野へ移転しました。当初は退職して長野県の会計事務所で働こうと思っていましたが、コロナ禍でリモートワークが定着していたこともあり、そのまま長野に住みながら働き続けました。クライアント訪問の際には東京へ来ることもありますが、気づけばフルリモートの生活が3年目となります。
- MC
- なるほど。「リモート環境」が整備されていたが故に転職せずに済んだということですね?
- 坂本
- その通りです。東京と地方の会計事務所の求人を比較するとお給料が驚くほど違います。あいわに残留できたことは経済面でも非常に助かっています。
- MC
- たしかに、地元(地方)に住みながら、東京基準の報酬を得るということは魅力的ですね。さて、坂本さんのフルリモートが定着した後、3名のフルリモート社員が誕生しました。みなさんの入社の経緯についても教えていただけますか?
- 豐海
- 私は長らく福岡の税理士法人に勤めていました。地元では老舗の会計事務所だったということもあり、クライアントは成熟企業が中心でした。そのため、申告業務に加えて相続・事業承継案件は相当数経験することができました。他方、一種の「やりつくした感」を感じ「税理士として新しいことにチャレンジしたい」と思うようになったのです。ですが、住み慣れた福岡を離れたくはありませんでした。フルリモートで働くことは想定外でしたが、成長志向のクライアントが多いあいわ税理士法人に魅力を感じ、入社を決意しました。
- 濵野
- 大学卒業後は、東京の会計事務所と事業会社にしばらく勤務していました。ただ、香川出身の私にとって「朝の通勤ラッシュ」が肌に合わず、10年前に夫婦で岡山へ引越しました。夫が大阪出身なので、シンプルに二人の出身地の中間地点を選んだのです(笑)。生活拠点を岡山に移してから約8年間、一般事業会社で働いていたのですが「税理士として専門的な仕事に戻りたい」という気持ちが強くなり、あいわ税理士法人でお世話になることになりました。
- 平田
- 私は公認会計士としてのキャリアを広げるために、税務を強みにしたいと思っていました。
あいわ税理士法人のクライアントのほとんどが上場会社・上場準備会社ということもあり、監査や会計コンサルティングの経験を活かしやすい環境だと思い応募しました。最初は東京勤務をオファーされましたが、関西愛の強い私は「大阪で働きたい」と正直にお伝えしたところ、フルリモートでの採用となりました。本当にありがたいです。 - MC
- 皆さんの「フルリモートワーカーへの道」が異なり、かつ、ドラマチックで面白いですね。
ところで、税理士業界も徐々にDX化が進んできているとはいえ、いつも1人きりで仕事をすることに不安はありませんでしたか? - 濵野
- 不安で仕方なかったです。私の場合、そもそも税理士業界で働くことが久しぶりでしたし、あいわ税理士法人のレベルについて行けるのか?と、入社が決まってからは不安しかありませんでした。今となっては社内の人の名前を覚えてきたものの、最初は誰に何を聞いたら良いのかが分からずに躊躇することが多かったです。システムの使い方、会社のルールに慣れるまでにはそれなりの時間がかかりましたね。
- 豐海
- そうですね。最初のうちは「資料のプリントアウトはどうすれば?」など初歩的なところで悩むこともありました。ですが、事務所内のツールがしっかり整備されているので、今ではスムーズに仕事を進めています。たとえば、決算調書などもエクセルで作ればきっちりできますし。以前の事務所では紙ベースの作業が中心でしたが、慣れれば大丈夫です。あいわ税理士法人では記帳代行業務がないので、そういう意味でも紙が少ないですよね。専門書についてもWEBでアクセスできないものは、個別に書籍を支給していただけるので助かっています。
- 平田
- 公認会計士の私は初めて税務の世界に入ったので、その点は非常に不安でした。フルリモートについては、Teamsや電話があるので特に不安はありませんでした。「今電話しても大丈夫かな?」と多少気づかいすることもありましたが「新人なんだから自分から巻き込んでしまえ!」と、遠慮なくガンガン質問するようにしました。毎月1回は東京に行って顔を合わせることができますし、一度対面でお会いした方とはやりとりがしやすくなりますよね。
- 坂本
- 私の場合、通勤からフルリモートに変わって一番苦労したのは「調べもの」でしょうか。最初のうちは、オフィスの書籍をPDFで送ってもらったりもしていましたが、ある程度の情報はオンラインで入手できますし、必要に応じて社費で書籍を購入しています。私は長野県にいるので、新幹線に乗ってしまえばオフィスまで2時間で行けてしまいますので、物理的な距離感はさほど感じません。
- MC
- 皆さん不安とともにフルリモートワークをスタートしたものの、時間とともに環境に慣れていかれているようですね。どうでしょう。フルリモート生活を振り返って感じるメリット・デメリットについて忌憚のないご意見をお聞かせください。
- 坂本
- 当然ながらフルリモートワークに通勤時間は発生しませんので、仕事と家事の両立は非常にやりやすくなりました。マイペースで仕事ができることは、フルリモートの最大のメリットだと思います。ただ、過剰にマイペースになるとTeamsでバレてしまうので(笑)、ランチ休憩時間などはオフィスで働いている皆さんと合わせるようにしています。「ちゃんとやってるぞ」という見せ方は大切だと思います。
- 濵野
- たしかに、フルリモートという働き方はものすごく自由です。その反面、孤独を感じることも多々あります。特に2月から3月の確定申告時期は遅くまで仕事をします。事務所にいれば隣に「同じ汗をかいている人」が見えますし、直接励まし合うこともできますが、自宅で一人きり作業をしていると寂しさを感じることもあります。そんな時は「MetaLife」のチャット機能で寂しさを紛らわすようにしています。福岡にいる豊海さんと直接お会いしたのは2回しかありませんが、MetaLifeのチャットでは何度もおしゃべりしています(笑)。
仕事の悩みもチャットで解消することもあります。 - 豐海
- そうですね。チャット機能には救われています。やはり私も最初は社内の顔と名前が一致せずに苦労しました。ですが、東京に行くタイミングで先輩社員がランチや飲み会に連れて行ってくれて。仕事のアサインも徐々に増えていき、孤独感は徐々に解消しつつあります。
- 平田
- たしかに、孤独を感じることはありますね。反対に仕事にのめり込みすぎて、プロジェクト毎のチャットに追いついて行けない時もあります。情報のやりとりはチャットとメールが中心なので、常にアンテナを張っていないとガラパゴス化してしまう恐れが生じます(笑)。
- 坂本
- 社内チャットをみれば「オフィスでこんなに大勢が頑張っている」ということを目の当たりにするので「私ももう少し頑張ろう」という気持ちにもなりますね。
- 豐海
- フルリモートは密室空間になりがちなので「1人でいることのストレス」はどうしても溜まってしまいます。そういう意味では、東京に行った際に先輩とランチに行くだけで「無意識的」にストレスが発散できます。これが大事かなと思います。大阪の平田さんによく電話をしてしまうのも「無意識的」にストレスを発散しているのかもしれません(笑)。
- 平田
- いつでも電話してください!
ところで、我が家には4歳と0歳の娘がおります。フルリモートという働き方だからこそ、積極的に育児に携わることができています。保育園の送りは私が担当していますし、夜は定時にいったん仕事を切り上げてから子供を寝かしつけ、22時頃から仕事を再開することもあります。ワークライフバランスの裁量権を持てることは、フルリモートワーカーの大きな利点です。
- MC
- 具体的なお話をありがとうございます。共通して言えるのは、フルリモートは自由度の高い働き方である反面、ときおり孤独感を感じることもあるようですね。最後にこれから転職を考えている税理士や会計士の方々へメッセージをお願いします。
- 平田
- あいわ税理士法人にはフルリモート社員が私を含めて4名在籍しています。法人規模的にはかなり先駆的な組織といえるのではないでしょうか。同じ境遇の仲間が少しずつ増えていくと私たちも嬉しいです。地元に居ながら東京の仕事ができる環境はそうそうないと思います。
- 豐海
- あいわ税理士法人で経験できない業務はないと言っても過言ではありません。フルリモート社員でも希望すればFAS業務(デューデリジェンス、バリュエーション)、組織再編といったスポット案件にも携わることができます。私自身、1年目から税理士として成長を感じる日々を送っています。地方在住の税理士の皆さんには是非私たちの働き方を知ってもらいたいです。
- 濵野
- 東京・名古屋・大阪などの都市圏にはある程度の規模の会計事務所があると思いますが、地方事務所においては上場会社のクライアントは限られます。あいわ税理士法人では記帳代行業務をすることはありません。地方に住みながら、グループ通算制度、M&A、組織再編、国際税務などの高度案件を担当できることに心から感謝しています。労働環境の改善に対する投資は惜しまない組織ですので「自分が働きやすい環境」で仕事ができていると実感しています。先月もモニターを増設していただいたばかりです。
- 坂本
- 地方事務所では車で往復2時間かけてクライアント訪問することも珍しくありません。移動時間や単純な事務作業に追われることなく、専門性の高い仕事ができることは税理士としてこの上ない幸せです。
- MC
- あいわ税理士法人のフルリモートワーカーが増員した際には、是非ともまたお話を聞かせてもらいたいです。本日は繁忙期の中、ありがとうございました。
プロフィール:
坂本 良子(さかもと りょうこ)
平田 俊邦(ひらた としくに)
濵野 有里(はまの ゆり)
豐海 航(とようみ わたる)