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合格体験記2020.05.15

広告業界から税理士への転身


後藤 類(スタッフ)
平成28年9月入社
スタッフとして活躍中の後藤の合格体験記です。

○広告の営業マンから税理士業界へ
 大学卒業後、広告代理店に入社しました。学生時代にあまり勉強をしてこなかった反動か、社会人になってから「何か勉強をしたい!資格を取りたい!」と勉強欲が出てきました。色々な資格を模索していたところ、税理士試験は、「働きながら資格が取れる!」「将来独立が出来る!」「難関試験!」と紹介されていたことに魅力を感じ、チャレンジすることを決意しました。
 広告代理店入社後2年目から税理士試験の勉強を開始し、広告代理店勤務時代に2科目合格、その後あいわ税理士法人に転職して残りの3科目に合格しました。
 勉強を始めた頃は5科目合格へは5年計画でしたが、結局すべて合格するまでは9年かかりました。

○受験環境の変化
 勉強を始めた頃と最後の科目受験時では大きく受験環境が変わりました。勉強を始めた頃は独身で勉強時間を自由に設定できたのですが、結婚、子供の誕生というライフスタイルの変化があり、段々と自由に勉強時間を確保することが難しくなっていきました。
 ただ、税理士試験は科目合格制なので、そのようなライフスタイルの変化があったとしても少しずつ勉強を積み重ねていけば合格に着実に近づいていくため、粘り強く継続していくことで最後の科目合格まで辿り着くことが出来ました。

○受験計画と科目選択
 ■年間の学習スケジュール
 年内から学習を始めた科目
 年内は復習する範囲もあまり広くないため、プライベートの時間を持つことを意識していました。年明けからは段々と復習量が増えてくるため徐々に受験中心の生活スタイルとなり、ゴールデンウィークからはプライベートな時間はほとんどなく勉強に集中しました。
 年明けから学習を始めた科目(受験経験者のある科目)
 テストが毎週もしくは2週間に1回あったため、年明けからすぐに勉強中心のスタイルとなり、ゴールデンウィーク明けからは土日ともに1日10時間以上勉強するようにしていました。

 ■選択した税法科目とその理由
 『法人税法』
  実務での使用頻度が高いため
 『国税徴収法』
  会計の知識が必要のない科目であり、税理士受験が初めての方が一定数いると思い、合格しやすいと考えたため
 『消費税法』
  実務での使用頻度が高いと思った点と身近な税金であるため

○各科目の学習法
 ■簿記論の学習法
 税理士試験の勉強を始めるまで簿記を勉強したことがまったくなかったため、専門学校の簿記入門コースで簿記の基礎を学んだ後に簿記論の勉強を開始しました。簿記論は問題を多く解くこと、基礎を重視することを心がけていました。簿記論は他の受験生の正答率の高い基本論点で着実に正解を積み重ねていけば合格ラインに乗るため、問題集の基本問題を繰り返し解くことを重視しました。
 また、直前期の答練は同じ問題を4~5回解きました。本試験では120分で解き終わらない分量の問題が出題されるため、答練を繰り返し解くことで、解くべき問題、手をつけてはいけない問題の取捨選択ができるようになり、非常に有用でした。

 ■財務諸表論の学習法
 計算を重視しました。専門学校の講師の方から「理論は試験の直前に覚えられるし、何が出るかわからないため、計算を重視することが財務諸表論の合格の秘訣」と教わったため、そのとおりに計算重視で勉強しました。本試験では案の定、理論で難しい問題が出たため、計算重視の勉強方法で正解でした。

 ■法人税法の学習法
 合格までに4年でしたが、最も学習時間を費やした科目でした。最後の年は、絶対に今年で終わりにしたいと思い、色々と勉強方法を模索しました。その際、財務諸表論で合格した時の勉強法である「計算をとにかく重視する」ことを思い出し、計算中心に勉強することにしました。具体的には計算の総合問題(1時間問題)を1日1問のペースで解くようにしました。法人税 理論マスター
 また、「専門学校の演習で上位30%に入っていることが本試験の合格の目安」であると講師の方から聞いていたため、少なくとも計算問題はこの上位30%に入っているかどうかを強く意識して勉強しました。最後の年は、総合問題をかなりの題数こなしていたため、計算力も上がってきており、全国模試ではSランクを取ることができました。そのため、自信を持って本試験に臨むことができました。
 本試験では計算問題が難解でしたが、「自分が解けない問題は他の人も解けない」と言い聞かせて頑張りました。
 また、理論はヤマを張らず満遍なく理解することを心がけていました。法人税法の範囲はとても広いため、理論も何が出るか本当にわかりません。そのため、満遍なく勉強することをオススメします。

 ■国税徴収法の学習法
 学習内容のほとんどが理論暗記であるため、テキストと理論マスター(理論集)の内容をリンクさせて理論を覚えるようにしました。また、トレーニング(問題集)の問題もすべて2~3回解きました。直前期の答練でも平均点程度の点数しか取れず不安になることもありましたが、本試験当日まで理論を覚え続けました。本試験はボーダーラインをわずかに下回っていましたが、何とか合格することができました。

 ■消費税法の学習法
 合格まで5年かかりました。税法の中で最も早く勉強を開始しましたが、合格は最も遅くなりました。
 消費税法は試験範囲がそれ程広くありませんが、その分受験者の実力は拮抗していて、その中で合格ラインに達する実力を付けるのは時間がかかる科目であると思います。
 学習方法はテキストをじっくり読み、理論も理解を心がけながら勉強を進めました。また、複数年の受験経験の反省から、答練や全国模試では計算から先に解くようにしていました。計算から先に解くと計算で基礎点を確保でき、残った時間で理論を解くことになります。そうすると理論は時間がない中で必要最低限の事を書くように意識するので効率的に得点を積み重ねる事ができました。
 私は理論から解くと書き過ぎてしまうタイプだったので同じようなタイプの方で計算と理論どちらを先に解くか迷っている方がいましたら、先に計算から解くことをおすすめします。

○学習時間の作り方
 税法科目の勉強を始めた頃にはまだ子供が小さかったため、家族に最大限協力してもらい、学習を進めました。妻と一緒に学習計画を作成し、資格取得を最大目標としながらも子供と遊ぶ時間を少し確保しました。ただ、共働きであるため、妻は家事と育児どちらもやらなくてはならず、大きな負担をかけたと思います。
 また、スキマ時間を見つけ少しでも勉強していました。電車をホームで待っている間や、会社の昼休みも勉強するようにしていました。さらに、平日や休日でやることをある程度決めていました。平日はまとまった時間が取れないので、理論暗記とテキストの読み込み、トレーニング(問題集)の個別問題を解き、休日はまとまった時間が取れるため総合問題(1時間問題)を中心に解くようにしていました。

○仕事と勉強の両立
 仕事と学習の両立には苦戦しました。仕事が忙しい時は勉強時間が減り、専門学校の講義にも出られないこともありましたが、「講義は遅れても最大1週間まで」と決めてWebフォローなどを使いカリキュラムから遅れないようにしていました。

○あいわ税理士法人での学習
 あいわ税理士法人に入社した時は2科目でしたが、入社してから3科目に合格する事ができました。試験結果の発表を待ってから学習を始めるのが1月で丁度繁忙期に入る時期と重なるので講義を受けられない週もありましたが、5月の後半からは比較的学習時間を確保する事ができました。
 また、試験直前では、試験休暇制度を利用し、試験前の3週間ほど休みを頂き、その期間は1日12時間近く勉強することができました。この最後の追込みをかけることができることが大きかったと思います。勉強計画
 あいわ税理士法人は、複数担当制(最低2人以上)であるため、普段はクライアントの窓口を担当していても、試験休暇中は上席の方が代わりに対応してくれるため、安心して試験勉強に集中する事ができました。あいわ税理士法人では税理士有資格者比率が多く、試験勉強の大変さを知っている人が多い事もこのフォロー体制の充実に繋がっているのではと思います。
 余談になりますが、試験直前の6月にクライアントから質問を受けたことがそのまま法人税法の試験に出た事がありました。試験直前期でもまじめに仕事をやっていたことが報われました(笑)。

○スランプ脱出法
 なかなか答練の点数が伸びず、スランプになりそうな時は、「自分が決めた学習計画どおりに勉強すればいつか成績が伸びる時が来る」と自分を鼓舞しながら勉強を続けました。誰にでもスランプは訪れるかと思いますが、どこかで成績が大きく伸びる時期が来ると思いますので、あまり気にせずに勉強を継続していただければと思います。

○心がけ
~あきらめないこと~
 あきらめずに挑戦し続けることが大事です。税理士試験は税制改正などで多少学習範囲が変わることもありますが、知識を積み重ねるほど合格に近づきます。「あと1ページだけでもテキストを読もう」「あと3行だけでも理論を覚えよう」という気持ちで学習されると良いかと思います。

~理解を心がけること~
 理解を心がけて学習することが大事だと思います。税法科目の本試験を複数回受けてきて感じたことは、「本試験は何の論点がどんな難易度で出るか本当にわからない」ということです。満遍なく理解していればどんな問題が出てもまったく解けないということはないと思いますし、理解できているという事実は本試験における自信にもつながります。

~間違いノートを作成すること~
間違いノートを作成しよう
 直前期(ゴールデンウィーク明け)になったら間違いノートを作成することをオススメします。左側に間違えた項目、右側に正解を書き、間違いパターンを把握することで弱点克服に繋がります。試験1か月前からは朝学習を始める際に毎日間違いノートを見るようにしていました。

~今やるべき事に集中すること~
 今やるべきことに集中して勉強してほしいと思います。たとえばスマホは一度見てしまうと止まらなくなってしまうので、休憩時間に休憩室で見るだけにするなど、見る時間と場所を決めてしまうことが大事だと思います。