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合格体験記2020.07.31

一つ一つの積み重ねが自信に

#####岡田さんオフショット写真の代わり#####
岡田 朋恵(スタッフ)
令和元年9月入社
スタッフとして活躍中の岡田の合格体験記です。

税理士を志したきっかけ
 前職は営業事務の仕事を7年ほどしていました。一通りの業務を経験し、立場も若手から中堅になった20代後半に今後の社会人生活をどうありたいか考え、転職を決断しました。しかし、私は資格やキャリアもなく、今のままでは納得できる職に就けないと思い資格取得を考えました。最初から税理士を目指していたわけではなく、国家資格ともなると私の経歴では受験資格がないものも多かったため、受験資格に制限がなく一番始めやすそうな簿記の勉強を始めました。
 簿記3級2級と順調に合格し、1級の勉強を始めた頃に専門学校の講師の方から「簿記1級は税理士試験の受験資格にもなるので、是非税理士を目指してみては」と税理士の業務を教えていただきました。多数のクライアント相手に仕事をすること、また自身の法律知識に基づいた相談や提案ができる税理士という職業は事務職よりも自分に向いているのではと思い税理士を目指すことにしました。

受験環境
 簿記1級受験の直前まで前述の営業事務の仕事をしていました。12月の簿記1級の合格発表を受け、1月開講のコースに入り税理士試験の勉強を開始しました。そこから2年目の受験までは勉強に専念していました。3年目は契約社員として一般事務の仕事をしながら勉強し試験直前に退職、試験直後の9月にあいわ税理士法人へ入社しました。
 勉強は家ではほとんどせずに、専門学校の自習室やカフェで行うようにしました。勉強を最優先にする生活が数年続きましたが、そうできたのも同居する家族の理解があったからこそだと感じています。

試験計画
 1年目(受験専念) 簿記論・財務諸表論
 2年目(受験専念) 法人税法・消費税法・固定資産税 ⇒ 不合格
 3年目(事業会社勤務) 法人税法・消費税法
 4年目(税理士法人勤務) 固定資産税

学習法
 計算・理論共通して講義を受けた後はテキストを熟読することから始めました。私自身が理解をするまでに時間がかかるタイプだったため、初学の時は特に講義内容をその場で理解することはほとんどできませんでした。「講義後すぐに疑問点を質問、解決する」といったことを実践している方も多いかと思いますが、私の場合、一度自分の中で整理してからでないと質問も出ませんでした。その為、一度持ち帰り解釈した上で解らないことは質問するようにしていました。
 講義はその場で全部を理解できなくても、後々の理解やイメージ付け、暗記の助けになるため、口頭での解説もよく聞きメモをとるように心掛けていました。

<計算の学習法>
 個別問題は次の講義までに最低3回、苦手な項目は回数を決めずできるようになるまで繰り返し練習しました。その後も1週間後、1か月後と定期的に解き、苦手や練習不足の論点ができないようにしていました。総合問題は法人税法以外の科目は繰り返し解くようにしていました。

<理論の学習法>
 暗記する前にテキストは解説部分まで熟読し、まず理解することを大事にしました。理解した上で暗記すると忘れにくいですし、なるほど!と思うことで勉強が楽しくなると思います。暗記法は、財務諸表論は書いて、税法は音読して覚えました。複数科目取り組んでおり、時間の余裕もないため音読による暗記が一番効率的で私に向いていました。

受験生活
⑴ 1年目
 元々受験資格を持っておりませんでしたが、簿記1級に合格することができ、結果発表後の1月から税理士試験の勉強を始めました。受験科目は簿記受験の勢いのままに、会計科目2科目を選択しました。とはいえ、簿記検定で工業簿記・原価計算を得意としていた私は簿記論・財務諸表論へのアドバンテージは全くなく、基礎から勉強をやり直すことにしました。会計科目は相互理解に繋がるので、同時受験もしくは間をあけずに受験することをお勧めします。

① 簿記論の学習法
 簿記論はひたすら練習あるのみだと思います。計算問題だけなので、苦手論点は作らないように網羅的に勉強することが大切だと思います。
 具体的には、仕訳や図を書いて解いたほうがよいものは、講義で習った図を同じく書けるよう練習しました。総合問題では計算用紙は使わず、電卓だけで全て計算しました。解答スピードを上げるために専門学校の講師の方の解き方を見せていただき、同じ解き方を目指し、電卓機能もうまく使えるよう練習しました。直前期には1日2題総合問題をやるようにしていました。

② 財務諸表論の学習法
 簿記論同様、計算問題は練習あるのみだと思います。総合問題を中心に繰り返し解きました。間違えた箇所は計算プロセス、計算用紙の書き方など原因がどこにあるのか考え、同じミスをしないように見直しをしました。
 理論の本格的な暗記は5月の連休頃からスタートしましたが、テキストをよく読み理解した上で一度全て書き起こしたところ、大枠を暗記することができたので、その後の暗記はスムーズでした。ストーリー性を考えると覚えやすいように思います。

 会計科目は基礎から苦手を作らず丁寧に積み重ねたことで、スランプもなく自信をもって試験に臨めました。

⑵ 2年目
 あと1年なら受験に専念できる環境があったので複数科目に挑戦することにし、実務で必須の法人税法と消費税法に加え、学習ボリュームを考慮し固定資産税を選択しました。3科目同時学習での時間配分は1日法人税法7時間、消費税法4.5時間、固定資産税3時間として、その中で何をやるか週間計画を立てて勉強しました。

① 法人税法の学習法
 法人税法だけは講義後に独自でまとめノートを作成しました。授業を受けテキストを読むだけでは覚えられそうになかったため始めましたが、結果として理解が深まり、忘れにくくなったと思います。確認テストや模試の総合問題は2、3回程度しか解きませんでした。他の科目と異なり、問題の形式が多様化しているため、総合問題を繰り返すくらいなら、個別問題を練習したほうが有効だと感じたからです。
 理論は出題予測のランクごとに濃淡をつけて暗記し、Cランクでは作文できる程度に仕上げることを目標にしました。

② 消費税法
 計算は外販の総合問題集含め計算スピードを意識した勉強をしました。計算スピードを上げるために取引分類は迷わずできるよう、個別問題集の取引分類は定期的に見直しました。直前期は1日1題総合問題を解くようにしました。
 理論は他の科目より、類似した表現が多いため覚えやすかったです。理論問題集の事例問題は解答漏れがないように、書いた後必ず見直しをしました。テキストの熟読が最も役立ったのが消費税法で、テキストの解説部分がそのまま理論の解答になることもありました。

③ 固定資産税
 学習ボリュームが少ないですが、計算は満点勝負で非常に苦戦しました。ケアレスミスが命取りになるため、ケアレスミス対策には力を入れました。転記ミスや電卓の入力間違いなど、間違いノートを作成し、同じミスをしないことを心掛けました。
 理論は過去問からの引用も多くある科目とのことで、理論問題集を書いて練習しました。解答量が多いため、時間内に書き終わるよう暗記した理論に固執せず作文力を養う練習をしました。

~再挑戦に向けて~
 受験後、自己判定で3科目ともボーダーラインを下回る結果となり、翌年に向けて勉強し直すことになりました。不合格の要因は複数科目勉強したことではないと思っています。各科目、合格するだけの準備をしたと自負がありましたし、模試では結果を出していました。それにも関わらず、不合格となったのは、パターン化した解き方になっていた詰めの甘さと柔軟な思考回路を持っていなかったからだと感じています。

≪計算≫
 基礎問題であっても要件や金額判定などは必ず確認して解くように心掛けました。計算テキストの暗記事項は単語帳を作成し、“なんとなく“解答することがないようにしました。

≪理論≫
 問題文中の時点や要件から、どこの理論に行きつくのかプロセスを都度考え、頭の中で指差し確認するようなイメージで解答をつくることを意識しました。
 また、Cランク理論まで精度高く、全理論暗記しました。

⑶ 3年目
 3年目は2年目の結果に関わらず就職すると決めていましたが、税法を全て残した状態での転職に不安を覚え、残業が少ない仕事をしながら勉強することにしました。専門学校から3駅離れた職場だったため、朝晩は専門学校に寄って自習、週末に授業を受けるといった生活スタイルでした。
 基本的な学習法は一度目の受験と同じでしたが、以下のことを追加して行いました。

① 法人税法
 年内は余裕もあったため、参考になる書籍を読みました。通達の逐条解説と裁判例から、当時の試験員対策として有効である論点中心に読みました。もちろん、実務未経験の私は解説すら難しかったため、理解できない項目は深入りせず読み飛ばしましたが、実務的な解説は法人税楽しい!早く実務に携わりたい!というモチベーションにも繋がりました。

② 消費税法
 他の専門学校の理論問題集を解き、解答そのものより初見の問題での思考過程を大事にしました。

 2科目とも基礎的な知識と理論暗記が確実にできていたため、試験も自信をもって臨むことができ、自己採点の結果と同じく無事合格することが出来ました。

⑷ 4年目
 あいわ税理士法人に入社して迎えた4年目は仕事が優先の生活スタイルでした。実務経験のない私は仕事において本当に余裕がなく、働きながら勉強することは体力的にもつらく感じました。しかし、法人税法と消費税法の2科目に合格しミニ税法1科目のみとなったため、繁忙期が明けた5月くらいから勉強に追い込みをかけるようにしました。
 ミニ税法の各科目はミニといっても、合格率が高いわけではありませんし、完成度の高さが求められるので合格するのは難しいと思いますが、働きながら勉強する場合や複数科目勉強している方はミニ税法を選択してよいのではないでしょうか。

大切にしたこと
⑴ テキストの熟読
 テキストは何度も繰り返し読むことをお勧めします。当たり前のことではありますが、基礎の理解は応用問題へ通ずると思います。細部までの理解と暗記は、直前期に必ず大きな差となります。

⑵ 間違いノート
 間違いノートは自分のオリジナルのテキストです。間違えた原因を理解不足か暗記不足か、それともケアレスミスなのか分析し、対策を書き留めておくことで、同じ間違いをしないように心掛けました。

⑶ 計画立て
 1週間単位で各科目何をするか細かく計画を立てました。計画を立てる上では、予備の時間も設け、計画の遅れは週間単位でクリアするようにしていました。
 また、仕事を始めてからは特に時間がなかったため、この日はこれをやるとあらかじめ決めておくことで朝晩の勉強を習慣化することができました。

⑷ 初見問題を大事にする
 科目にもよりますが、過去問の類似問題は出ないことがほとんどかと思うので、確認テストや模試は必ず解答し、その出来に関わらず、考え方をインプットすることを大事にしていました。

時間のつくり方
 複数科目の勉強も、働きながらの勉強もいつも時間がなかったため、隙間時間を無駄にしないようにしました。電車の中はもちろん、ランチ中も理論の暗記に充てました。家でやった唯一の勉強は髪を乾かしながら壁に貼った理論を音読することです。(ちなみに、消費税法の課税の対象部分を貼っていました。)
 隙間時間についつい見てしまうスマホは、時間を決め、それ以外は電源を切っていました。


受験専念か、働きながら勉強するか
 受験専念を経て、就職した私が感じるのは、仕事をすると圧倒的に時間がないということです。自習時間も減り、通勤時間もやるべき仕事や社用メールが気になってしまったり…。また、慣れない仕事に疲れて帰りの電車で理論暗記なんて無理…と思ったこともあります。
 しかし、モチベーションの面では実務を経験するとまったく変わってきます。あいわ税理士法人は有資格者が多いこともあり、税理士というプロフェッショナルの中に身を置くことで、自分も早く追いつきたい、信頼されるような税理士になりたいという思いが勉強のやる気へと繋がっています。また、実務は受験のための勉強とは違うので、はやく実務のための勉強をしたいとも感じています。

最後に
 税理士試験は科目合格制で、ひとつずつ積み上げることができる一方、5科目合格するまでの道のりは長期戦で精神的に辛くなる時期もあるかと思います。しかし、資格取得はスタートラインに過ぎず、資格取得後は仕事の幅が広がるのではないかと感じています。税理士を目指す方々にも、その可能性を信じて頑張ってほしいと思います。

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