目に見える『証』が欲しくて一念発起
堀田雅人(シニアスタッフ)
平成29年9月入社
シニアスタッフとして活躍中の堀田の合格体験記です。
2年間専念、その後税理士法人へ
前職では日々の作業をこなすだけで、身に付く知識がないと感じていました。何か目に見える証が欲しくて簿記3級を取得したことが始まりです。30歳になってしまうと気持ちがぶれてしまい行動できなくなると思い、29歳で退職し、税理士試験に専念することにしました。
2年間は専門学校に通って勉強に専念し、その後は実務経験も必要だと思い、税理士法人でアルバイトしながら試験を受けました。最後の1科目はあいわ税理士法人に入社してから合格しました。
○学習方法(全般)
『学習場所』
専門学校は、一時期通信でも受講しましたが、締め切り効果がない為に暗記は後回し、ミニテストの提出も面倒でやらなくなる。映像を早送りして勉強した気になる。と私には何一つ良い事が無かったので、無理してでも通学で講義を受けるようにしました。
1年目、復習等の自習は自宅で行っていましたが、やはり色々と気が散ってしまう為、2年目からは専門学校の自習室へ。最終的には有料自習室を利用しました。
ずっと同じ場所で自習すると集中力が途切れる為、カフェや公園、電車など意図的に場所を変え、学習内容も変更し、なるべく集中力が途切れないよう心掛けていました。
毎日の学習開始時にその日に最低限やるべきものを一覧にし、その内容をこなしました。多く書きすぎるとその日では終わらせられなくなり、逆にやる気がそがれてしまうので、できる範囲のものを書き、日々達成感を味わうようにしていました。
『時間制限と範囲無制限』
問題を解く際には、制限時間×0.9の時間を設定して解くようにしました。
専門学校のテストでは、理論の範囲リストが事前に配布されると思いますが、本試験においての範囲は“全て”なので、そのリストを見ずにテストを受けていました。
『復習』
最初は間違いノートを作成していましたが、時間をかけて、綺麗にまとめて満足して、結局たいして見直しをせず、あまり意味を成しませんでした。
それよりも大原であれば要点チェックノートにメモを書き込んでいく方が、もともと要点が纏まっていますし、一から作る間違いノートよりも時間を掛けず、数段効率が良く、項目確認の都度間違った内容も自然と何度も見直すことができました。
『仕事と勉強の両立』
定時退社を徹底して時間を確保しました。
仕事は、勉強と同様にその日にやることをまとめ、それを定時までに終わらせることを徹底しました。この考えの方がダラダラと仕事はせず、結果的に効率良く進めることができたと思います。
担当のクライアントには上長がいるので、直前期は上長に対応をお願いし、有給、夏休み、試験休暇を使い、勉強に専念して追い込むことができました。
○学習方法(科目別)
受験において、共通して言えることは、思い込まない事。分かる問題を間違えない事。解ける問題を飛ばさない事。分からなかったら一旦飛ばす事。言うのは簡単ですが、実行するのは難しい。しかし、これを念頭に置くのと置かないのとではかなり点数に差が出てくると思います。
以下にそれぞれの科目の印象や学習方法等を記します。
『簿記論』
受けた5科目の中で一番苦手でした。
学習の序盤は専門学校のスケジュール通りに進め、問題集を何度も解く事で基本を頭に叩き込んでいきました。直前期になると必要なものは、日本語の読解力とパズルを解く力だと私は思います。簿記は出題方式が多種多様であり、様々な角度からその項目を見る必要があると感じ、より多くの問題を解くため他校の問題も解きました。これは問題を憶える為ではなく、こういう出題の仕方もあるのだと認識し、その項目に立ち戻り、再度理解を深める為にやったことです。出題方法が変わるだけで解けなくなるのは、理解出来ていない証拠なので。
『財務諸表論』
如何に理論を幅広く理解し暗記できるかが肝心だと思います。
計算は簿記論と同時期に学習していたので、被っている項目は簿記論で賄え、あとは財務諸表論特有の項目を学習すればいいだけだったので、費やす時間を短縮することができました。できることなら簿記論と財務諸表論は同時受験が良いと思います。
理論は税法と異なり、考え方なので範囲が広く、また、あまり計算とリンクしません。一方で、考え方なので、『過去こうだったが現在はこうである』というようなストーリーがあります。その流れを理解することで暗記しやすくもなりました。
また、暗記と言っても全てを忠実に憶えるわけではなく、ある程度のキーワードの暗記と内容を理解することで、あとは自分で文章を作ることで十分対処できました。
『消費税』
クイズ感がある税法でした。
計算においては、消費税区分を間違えず区分できるかが勝負であり、ここが終わればあとはひたすら計算をするだけです。なので、この消費税区分のスピードを上げる為、何度も区分の問題を解きました。スピードを重視するあまり、読み飛ばすこともしばしば。総合問題を解く時間が取れないときは区分部分だけ解くことで、理解を深めました。
理論は、当時はほぼすべて暗記していたはずです。当てはめの問題が苦手でした。解けないわけではないのですが、その問題内容の当てはめを忘れることが多く、よく減点をされました。当てはめの問題が出題された時は、まず回答すべき理論を思い浮かべ、その理論にこの問題の内容をどう当てはめるか考えてから解くように心がけました。それでも焦ると数か所当てはめ漏れは起こりました。余裕を持つにはやはり理論を暗記し、何度も問題を解くことが必要だと思います。最終的には出題者がどう間違えさせようとしているかまで分かるようになりました。
計算と理論はリンクしていたので、理論の問題を計算問題として、計算の問題を理論問題として解くこともかなり理解に役立ちました。
『固定資産税』
学習量は少ないですが、少ないからこそ正確さが求められる税法です。
計算は、本試験においても最終値まで出せる問題も少なくないので、どれだけ速く正確に解けるかがカギでした。多くの問題を何度も解き、計算過程を考えなくて解けるレベルに持っていきました。
理論は、私の中では全く面白くないものでしたし、私自身一番憶えづらいものでした。根気強くひとつひとつ暗記していきました。本試験はただ理論を書けばいいものと、考え方を書くものも出題される為、暗記だけではなく、計算の内容も説明できるよう学習しました。
『法人税』
実務が活きる税法です。
実務内容が直結して問題として出てきます。実務だと計算はある程度PCが行ってくれるので、計算過程を思い浮かべ、自分が出した数値が一致するか確認することで復習もできましたし、学習していなくても実務でやったから解答できることもありました。
内容は計算も理論もかなりの量があり、覚えるだけでもかなり苦労しました。ただ、消費税同様計算と理論がリンクしますので、理論を思い浮かべながら計算を解くことで両方の理解を深められます。
計算においては、計算過程を考えなくても出てくるまで繰り返し基本問題を解きました。また、理論をしっかり暗記・理解することが、計算過程を度忘れした場合の思い出しにも役立ちました。
総合問題を解く際は、例えばただ数値を転記するだけのような、解答に必要な情報量が少ないものを優先し、解答するまでに手間がかかるものは、最終値は合わないものと考えて、過程での加点を狙いにいく位の気持ちの方が余裕を持てると思います。
○税理士試験を終えて
よく「『今年は絶対合格する!』という気持ちを持って勉強する!」と言いますが、私はその気持ちを常に持ち続けられませんでした。その気持ちよりも、今のこの一日に何時間も勉強する状況から脱却したい。また来年同じ事を繰り返すなんて嫌だ。でも諦めるのも嫌だ。だから今頑張ろう。という気持ちの方が私はやる気を維持できました。
本試験までのテストはたくさん間違えた方が良い。
本試験が近づけば近づくほど点数が伸びないとやる気を失ってしまい、精神状態も不安定になりますが、逆に間違えたらラッキーだと考えた方が良いと思います。その問題を二度と間違えないように対策を取ることができるからです。間違えたら間違えた分だけ自分にプラスになります。
私がそう思えたのは試験が終わってからでした。
短期間で5科目取得したいのなら専念して勉強した方が良いでしょう。しかし、資格取得はゴールではなく、むしろスタート地点に着いたぐらいだと私は思います。
それぞれ目指すものは違っても、その目指すところにはどうしたって実務経験が必要、そして実務経験を積むのは早ければ早いだけ良い、これだけは確かです。