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合格体験記2022.11.17

『税理士につながる1年半』~働きながら大学院へ~


兼古 督士(アシスタントマネージャー)
平成30年9月入社
アシスタントマネージャーとして活躍中の兼古の合格体験記です。

システム開発会社から税理士業界を志す
 社会人になってから税理士を志した私は、もともとホテル業界のフロント管理システムを開発販売する会社に勤務していました。当時、業務上「簿記の知識」の必要性を感じていた私は、日商簿記検定試験の学習を開始。そして、簿記の勉強を進めていくと「会計」の面白さにどんどんハマっていったのです。「もしかすると会計を仕事にするのもアリ?」と思った私は、公認会計士や税理士の資格に興味を持ち始めます。いろいろ調べてみると、第三者の立場として監査をする公認会計士よりも、会計税務のコンサルティングを通じて企業を総合的にサポートする税理士の仕事に魅力を感じました。加えて、税理士試験は無期限の「科目合格制度」があるため、働きながら資格取得を目指すことができると思い、税理士を目指すことに決めたのです。

仕事をしながら「簿記論」「財務諸表論」「消費税法」に合格
 実際に税理士試験の学習を開始したのは、会計業界に転職してからです。私が最初に勤務した会計事務所は「これから税理士受験をする人」でも採用してくれました。会計事務所の仕事に慣れるまでは、仕事と税理士受験勉強の両立に苦労しましたが、仕事の流れが身についてくると勉強時間の確保も容易になりました。努力の甲斐あって、働きながら「簿記論」「財務諸表論」「消費税法」に合格することができました。どの会計事務所でも同じだと思いますが、業務量が少ない入社1年目から3年目に合格科目を増やすことが非常に重要なのではないかと思います。

大学院と仕事の両立が困難となり転職を意識
 会計業界へ転職し、入社3年目頃になると、任される業務の量が徐々に増えていき、税理士試験のための勉強時間の確保が難しくなっていきました。正直に申し上げると、1年間全く勉強できない期間もありました。「このままではマズい!」と思った私は、税法科目免除が可能な大学院へ進学。しかし、4月から大学院の授業が始まってみると、またもや仕事と大学院の両立が困難に陥りました。そこで、私は「大学院へ通いながら仕事ができる税理士法人」への転職を考えたのです。
 
資格取得に対する理解の高い税理士法人を選択
 あいわ税理士法人を転職先に選んだ大きな理由の1つは、有資格者比率が8割超と高く、資格取得に対しての理解が非常に高いということです。たとえば「通学サポート制度」を活用すれば16:30に仕事を切り上げて、大学院や予備校の講義を受講することもできます。「確実に大学院へ通える」という労働環境は非常に有難かったです。また、あいわ税理士法人では1社を2名体制で担当するため、業務をフォローしてくれる先輩にも非常に支えられました。「応援してくれている先輩のためにも合格しなくては」という気持ちにもなり、こうした文化が、あいわの有資格者比率、合格率の高さに繋がっているのだと思います。

受験計画
<税理士合格まで>
 税理士受験をはじめたのは2013年4月からで、その年の8月に消費税法を受験しました。当時はオリンピックの候補地が東京に決まるかどうかという時期で、もし決まれば2020年までに税理士試験は終えよう、という何となくの目標を立てました。結果、大学院を2019年9月に卒業し、2020年4月には国税庁から科目免除通知を受け取りましたので、目標は達成できました。

<科目合格>
 最初の科目は、勉強を開始した時期が遅かったことから4月開講コースがあり、実務にも直結することから消費税法から始めました。3回目の受験で消費税法に合格し、翌年、簿記論と財務諸表論に合格しましたが、このころに仕事が忙しく、試験勉強ができなくなったため、大学院への進学を決めました。

<大学院の受験>
 大学院をいつ受験しようかと考えた時に、入学試験の出願書類に論文の研究計画書の提出が必要だったのですが、仕事が忙しかったため、年末年始しか時間が取れず、1月ないし2月に入学試験を設けている大学院を選択しました。大学院受験対策の予備校に通う時間もなく、大学院の入試説明会にも行っていなかったため、試験対策は不安しかありませんでしたが、研究計画書を提出し、面接試験も経て無事合格できた時はとても安堵しました。入学後同じゼミ生でも、予備校に通わずに研究計画書を提出した方が何人もいましたので、志望する大学院にもよるかと思いますが、予備校に通って準備することにこだわる必要はないと思います。

<年間の学習スケジュール>
 私は早く税理士試験を終えたいと思っていましたので1年半コースがある大学院を選びました。そのため他のコースに比べると、短期間で多くの単位を取得する必要があり、最初の1年間は平日3日間と土曜日も授業という状況でした。
 1年目は論文作成も並行していましたが、とにかく必要な単位を取りきる事を第一優先とし、残りの半年で論文の完成度を上げるという計画で取り組みました。
 あいわ税理士法人では、平日のうち3日間は定時で退社させて頂きました。ただ私は12月と3月決算法人を多く担当していることから、1月、4月が特に忙しく、また大学院の期末考査が1月でちょうど時期が被ってしまい、大学院と仕事のやりくりが大変な時期もありましたが、先輩方からは確実に考査を受けられるようにフォローをして頂いたことは、とても感謝しています。

  •  私の場合、1年半コースという短期コースだったこともあり、特に1年目は授業のコマ数が多く、平日だけでも週3で大学院に通っており、なかなか大変でした。
     さらに土曜日は授業と論文、日曜日は論文専念という形で、休む暇がなく今思うとハードな1年半でした。

大学院での学習について
<必修科目の単位取得>
 とにかく授業に出席することを目標にしました。また、授業によっては毎回レポート提出が必要なものもあり、授業が終わったあと、大学院の校舎が23時過ぎまで開いていたことから、授業後にとにかく終わらせるように努力しました。それでも終わらないときは仕事の前や土曜日の朝の時間に取り組みました。
 どの授業も期末の試験もしくはレポートの提出があり、授業についていけなくなると単位取得ができなくなるため、かなりの緊張感がありました。日によっては授業の期末試験の日と、クライアントの訪問日が重なり、客先から大学院に行き、試験のあとすぐに客先に戻り、夜遅くまで申告書のレビューをするという日もありましたが、その際もあいわ税理士法人の先輩が全面的にフォローして頂けたことにとても感謝しており、今でも忘れられません。

<論文作成計画>

 1年半のコースは特に社会人向けのコースであったことと、ゼミの指導教授から社会人であることを十分に尊重した指導をして頂けたことで、論文作成の環境には本当に恵まれたと思っています。
 具体的にはまず論文のテーマについては、入学前に決まっていますが、4月の最初のゼミの時点で、論文のテーマに必要な参考文献の紹介、大まかな章立てまで指導して頂けました。あとはその章立てに沿って、例えば8月までに序章と1章を終わらせて1万字、11月までに3章を終わらせて2万字、3月までに3章を書き終え、それ以降は全体を肉付けして4月までには最低でも3万字を書いて終章までというような段取で進んでいきました。全体像を見通した中で、いつまでにどの部分をということが非常に具体的で進めやすかったです。ただし、期日は絶対に守りなさいというスタンスでしたので、その点は必死にやりました。

<論文のテーマ>
 私は、「法人税法132条の2」を取り上げ、組織再編成に係る行為又は計算の否認規定における「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の具体的な成立要件を研究しました。このテーマは判例が極めて少なく、たくさんの判例の中から共通する解釈や、反対の解釈を抽出するという作業が思うようにいかず、その分他の研究者の評釈をたくさん読み、引用する必要があったため、かなりの時間を費やしたと思います。
 論文は一つのテーマを深く掘り下げる作業になりますので、裁判例が多いテーマを選ぶともう少し楽だった思います。

<論文作成>

  • ■ 判例の読み込み
  •  自分が取り上げたテーマの判例を読み込むことが重要です。納税者と国の主張、司法の解釈を把握し、争点を絞る必要があります。論文は狭く深く、解釈を掘り下げていく作業になりますので、一つの判例にいくつも争点があったとしても、そのうちのどれを取り上げたいのか、明確にして進めていく必要があります。

  • ■ 評釈の収集
  •  とにかくこの作業に一番時間を要しました。同じ争点であっても、肯定と否定の双方の意見がありますので、そのどちらについても、主張とその理由について調べる必要があります。そこで、私はエクセルを使って論者毎に、主張、争点に対する視点や解決策、その根拠をまとめ比較表を作成しました。
     私の場合資料は大学院の図書館で完結しました。国会図書館など他の施設に資料を見に行くという作業はありませんでしたが、資料のコピー作業だけでも、地味ですがかなりの時間を要しました。すこしでも効率的に行うため、参考文献を集めるときも目的を明確にしました。具体的には、ひとつの評釈を読みながら、次に調べるべき論点、その論者と、書籍名などをピックアップしておき、資料収集の日を決め、朝から図書館に籠ります。決めた資料をまずは手元に積み上げていきます。人気のある書籍はどうしても他のゼミ生や大学の生徒に貸し出されてしまうため、遠慮なくキープしました。それらをまずはざっと読み、読んだうえでコピーする部分に付箋を貼って、それが終わったらひたすらコピー作業をしました。コピーが終われば、重要な部分をマークして、論文の本文とは別に、テーマごとに解釈をまとめていき、自分の意見を書いて残しておくという作業を繰り返しました。朝から始めても夜までかかる作業でしたのでとても大変でした。

  • ■ 教授とのコミュニケーション
  •  論文作成は非常に時間がかかりますし、一度書き始めたら軌道修正は無い方がいいと思います。そのため少しでも迷った場合にはすぐに教授に質問しました。ただし、教授の指導方法として質問のルールが明確に決められており、漠然とした質問は受け付けてもらえず、苦労しました。質問の仕方は必ずワードでまとめること、ワードにはまず自分の考えを書き、次にその根拠を記載したうえで、最後に何を解決させたいのかを書く、というようなルールでした。そのため質問用のワードだけでも1万字を超えることもありますが、それに対して教授も明確に回答してくださるので、そのまま論文に落とし込めるぐらいの内容の濃いやりとりができました。
     指導教授からは「期日を守ること」「自分の発言や文章は、まず、事実とその原因、最後に効果(自分の考え)という三点を必ず入れること」を1年半の間繰り返し教えて頂きました。論文作成ではなく、税理士の仕事にも役立つ大切なことだと思います。

仕事と学習、家族の支え
 仕事と学習の両立は絶対です。仕事については100点満点を求められると思いますので、自分ができないことはどんどん職場の先輩に聞いて、解決するべきだと思います。クライアントにとってはあいわ税理士法人と契約しているため、自分ができるかできないかは関係がないからです。勉強している立場ですと、どうしても授業を休めない日があります。でも大学院は期間限定ですので、必ず1年半で卒業して、その後の仕事で先輩方に助けて頂いた分は返していくことができると思います。仕事で悔しい思いをしても学習と両立するためには、やはり先輩に支えて頂くことは大切だと思います。
 一方で学習は自己責任だと思います。自分で決めたことは最後までやりきるしかありません。そういう意味で、仕事以外の時間のほとんどを学習時間に充てたと思います。その点、家族の理解を充分に得られたことは幸いでした。良い意味で干渉されなかったこと、また妻も私とほぼ同じ時期に社労士を目指しており、勉強を継続することに対する理解があったことはありがたかったです。

受験生の方へ
 私自身があいわ税理士法人にいて感じることですが、税理士は税法の専門家としての法律家ですので、税法を読むのが面白く、自分の考えでクライアントにアドバイスすることに喜びを感じられる方は、あいわ税理士法人がいいと思います。
 また、税法5科目合格か、大学院で資格取得かを迷われる方がいれば、ぜひ双方の意見を聞いて自分にあった方を選択してください。私の立場からすると、大学院では税理士法人だけではなく、一般の事業会社に勤務する方とも交流することができますし、大学院の教授も例えば国税庁で税法を作成経験のある方、長年税務調査官として活躍された方、世界的な税理士法人で社員税理士をやりながら客員教授として授業をされている方など、受験生活とはまた違った環境に身を置くことができ、卒業後も交流を続けていくことができることはとても有意義だと思います。
 あいわ税理士法人の先輩からの言葉ではありますが、大学院で論文を書いた経験があることで他の職員にはない、自分自身の切り口でクライアントの役に立てると言われたことは今でも励みになっています。
 みなさんもぜひ、一度目指した税理士の資格を取りきるまで頑張ってください。そして、あいわ税理士法人にはそれを支える環境があると思います。一緒にがんばりましょう!

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