働きながら税理士を目指す人へ ~合格に必要な勉強時間・環境・転職のポイント~

令和6年6月入社。
スタッフとして活躍中のメンバーの合格体験記です。
- はじめに
- 科目選択の考え方:点数戦略とモチベ維持
- 勉強スケジュール:社会人の“税理士 勉強時間”のリアル
- 勉強方法:理解重視で戦う税理士試験
- 勉強で工夫・意識したこと
- 挫折したとき:環境を変える決断
- 最後に:働きながらの合格で大切にしたこと
はじめに
前職は会計系の事業会社で、社員の多くが税理士や会計士としてのバックグラウンドを持っていました。
「実務にも役立つし、この環境で同じように活躍できるようになりたい」と考えたことが、働きながら税理士試験に挑戦するきっかけでした。
学習を進める中で、税理士試験で学ぶ内容が当時の実務とあまり重ならないことに気づき、「学んだことをしっかり活かせる税務実務に携わりたい」という思いから、税理士法人への転職を決断しました。
合格第一のスタンスではありましたが、実務につながる理解重視の勉強法を貫き、疑問点はその場で解消していきました。この「理解して覚える姿勢」は、今の実務にも大きく役立っています。
科目選択の考え方:点数戦略とモチベ維持
働きながら税理士試験に挑戦する場合、大学院での科目免除という道もありますが、私自身は実務と勉強を両立しながら基礎力を積み上げる方法を選びました。
その上で、以下のように科目を選んでいきました。
• 簿記論・財務諸表論(1年目)・・・合計約700時間
• 消費税法(2年目)・・・約500時間
• 法人税法・相続税法(3年目)・・・約800時間
• 相続税法(4年目・再受験)・・・約700時間(初年度)、450時間(2年目)
科目選択は、「税務実務でよく使うこと」「満点勝負になりにくい」ということから選択しました。試験本番はどうしても緊張や焦りで間違えるところが出てしまうので、ミスがあっても他でカバーできる方が合格しやすいだろうと考えました。
2年目に消費税法を選んだ理由は、基本的に学校に通うようにしていたのですが、法人税法は土日しか講義がなく通いづらいと感じたこと、理論暗記にビビっていたので消費税のほうがまだ負担が少ないだろうと考えてのことでした。
3年目に法人税法と相続税法を選んだ理由は、法人税法が平日夜の講義も開講されるようになったことと、「これ以上受験勉強を続けたくない」と考えたことが理由です。消費税法を勉強していた時に、うっすら今の実務と結びついてないことを感じ始め、「この勉強、あと2年もやりたくないな、モチベが続かない」と感じていました。負担は大きいと思いましたが、絶対終わらせるぞ!の気持ちで取り組むことに。後述しますが2度目の相続税法はモチベ維持が大変でした…。
勉強スケジュール:社会人の“税理士 勉強時間”のリアル
TACに通っていたため、基本的にはTACのスケジュールに沿って勉強を進めていました。実際の勉強時間は以下の通りです。
• 年内(11月〜3月):講義中心、やや緩め(週15〜20時間)
• 4月〜GW:ペースアップ(週25時間)
• 直前期(5月〜7月):ピーク(週40時間前後)
年内は講義の消化が遅れがちでしたが、年明け〜GWまでに追いつき、直前期に一気に集中する流れが定番になっていました。「1年中ずっと本気」は現実的ではなかったため、気持ちが乗ったタイミングで一気に伸ばす スタイルが私には合っていました。
勉強方法:理解重視で戦う税理士試験
基本的にTACの教材を用いていますが、特に注力していた理論暗記と答練の解きなおしについて記載します。
<理論暗記:財務諸表論・消費税法・法人税法・相続税法>
理論暗記は理解重視で取り組み、自分で自分に説明できるようにして、記憶に結び付けることを意識しました。試験本番では丸暗記できていた理論ですら時間が無くて作文したこともあったので、対応力を付けるという点でよかったと思います。
理論マスターには授業中の先生のコメントや、調べたことなどを書き込みました。まずは書いてあることを理解し、そして理論を自分で録音して移動中や家事をしている間などに聞いていました。この録音はただ朗読するのではなくて、メモしたことも補足したり、自分の言葉で言い換えたりしながら説明するように話ました。内容がわかっていないとうまく話すことができず、1つの理論を録音するのに1時間以上かかることもありました。この録音作業自体が、内容理解に役立ったと思います。
会社の昼休みの時間には、PCのメモ書きで「昨日覚えたはずの理論」を打ち出すなど、思い立ったらすぐアウトプットするようにしていました。紙に書く、話す、タイピングが主なアウトプット方法でした。
【2023年法人税法の理論マスター】

先生に「ここは覚えなくてもいいよ」といわれたところは積極的に消していました。
(一応、戻せるようシャーペンで)
<答練対策:合格ライン60点への正攻法>
教材の中でも特に力を入れたのは答練です。直前期にはもう十分と思えるまで解きなおすのですが、多い回だと5回転くらいしたと思います。税理士試験は60点が合格点とされていますが、その6割は他の受験生が正解できるところを自分も正解できればおのずと達成できると考え、多くの受験生が触れている資格学校の答練の内容は、必ず解けるようにすることが大事と考えていました。
上級コース以降の答練は間違いメモも作っていました。間違えた内容だけでなく、なぜ間違えたのか、理解が不足しているからなのか単にケアレスなのかを自分なりに明確にし、どこに注意すべきかなどを記載していました。この作業は時間がかかりますが、試験直前に見返すほどお気に入りのメモとなっていました。
【相続税法をやっていた時の間違いメモ。解きなおすたびに追記していました。】

勉強で工夫・意識したこと
<質問相談>
私は曖昧なまま先へ進むことができないタイプで、理解が抜けている部分があるとどうしても気持ちが落ち着きませんでした。そのため、授業後の先生への質問を含め、電話相談やメール相談を活用し、分からない箇所はなるべく飛ばさず解消するようにしていました。
電話相談は曜日や時間帯を変えながら試し、相性の良い先生を探していました。曜日・時間帯によっては先生も余裕があるようで、雑談を交えながら+αの内容を教えてくれたりします。そういった内容は、試験本番でも「雑談をしながら教えてもらったところだな」と思い出せたりするものでした。
時間はかかりますが、せっかく学校に通っているのだから、使えるリソースは最大限活用し、「納得するまで取り組む」を徹底しました。
<勉強環境>
勉強場所は、TACの自習室や図書館、仕事後の職場オフィスが中心でした。家にいるとどうしても集中できず、時間だけが過ぎてしまうタイプだったので、意識して外に出るようにしていました。周囲に人がいて緊張感がある空間がちょうどよかったです。年末年始に実家に帰省した時は、近所のスーパー銭湯に朝から晩までこもって勉強し、疲れたら湯に浸かってぼーっとしたり直前覚えた理論を思い出したりしていました。
一方家では理論の録音や、明日やるべき作業の整理に充てることとしていました。時々目が冴えてしまいどうしても眠れない日があるのですが、そういう時は開き直って答練の計算の解きなおしをしていました。
余談ですが、当時はコロナ禍という状況もあり、外出時はマスクが必須でした。コンタクトだと目がすぐ疲れ、メガネはマスクで曇る。どちらも勉強の妨げになるため、思い切ってICL手術を受けました。ドライアイが解消され、外に出て勉強できる時間も増えたのでやってよかったと思います。
<道具のこだわり>
勉強に用いていた道具でこだわったことなどを紹介します。
まず、ペンです。理論は「ZEBRA ジェルボールペン サラサクリップ0.5(ブルーブラック)」で書いていました。圧倒的に摩擦が少ないので、サラサラ書きやすく、速記に向いていました。
計算は「ジェットストリーム0.38mm」の青ボールペンを使っていました。こちらも摩擦が少なく、細かく書き込めるので問題用紙にも書き込みやすかったです。
どちらも本番で書けなくなった時に対応できるよう、何本か持ち歩いていました。
続いて、答練・トレーニングの解きなおしです。私は印刷環境が無かったので、答練やトレーニングを解くときは、フリクションで直接書き込むようにしていました。フリクションは摩擦熱で消えるのですが、同じように熱を与えてあげると消えるので、アイロンがけすると簡単に消せます。私は普通のアイロンは持っておらず、ヘアアイロンで代用していました。時間は多少かかりますがドライヤーでも消せるので、同じように印刷できない人、紙が増えるのが嫌な人はお勧めです。
最後に、テキストのデータ化&トレーニング・マスターの裁断です。
基本的に外で勉強をしていたので、テキスト類を持ち歩いていたのですが、直前期になるほど荷物が多く大変でした。そのため、持ち運びやすくなる工夫を凝らしました。消費税法を受けていた頃、TACが教材の電子提供を始めてくれたので、それをノートアプリに取り込み、移動中に確認していました。テキストを持ち歩かずとも過去の内容も調べることができるので、外勉に活躍してくれました。法人税法・相続税法を勉強していた時は、とにかく量が多いので、テキストは完全にアプリへ移行し、メモもアプリ上で取るようにしていました。
一方トレーニング(問題集)と理論マスターはどうしても紙のほうが扱いやすかったので、裁断して持ち歩いていました。カッターで背表紙を落とし、カールの穴あけ機でリング穴をあけ、ルーズリングで綴じる形です。無印のリフィルノートを使うと範囲の部分だけ綴じて持ち歩くことができ、重宝しました。
また裁断することで机の上に置いても開いたままにできるので、お風呂上がりに髪を乾かしながら理論暗記を進めることもできました。見やすくなるので裁断は結構お勧めです。
挫折したとき:環境を変える決断
相続税法の不合格がわかった時、すぐ上級コースを申し込んだものの、まったくやる気が出ずに3月頃まで勉強ができませんでした。前年の試験勉強で燃え尽きたこと、そして「今の仕事を続けていても、税理士の資格は取れるだろうけど税務実務にかかわれることはない」と感じていたことが大きな要因でした。
そこで環境を変えることを決意し、あいわ税理士法人に転職しました。税理士法人で働きだしたことで「やらなきゃいけない」気持ちが再燃し、緊張感を持ちながら仕事も勉強も取り組むことができました。モチベーションが落ち、やる気がなくなることはあると思いますが、「環境を変えてみる」というのも一つの手だと思います。
最後に:働きながらの合格で大切にしたこと
私は一つの論点に向き合うときは徹底的にやり切ろうとしていましたが、全体としては“完璧を目指さない”ようにしていました。税理士試験は10%に入れば合格できるのであって、上位1%にいなければいけないわけではありません。完璧にやろうとすると追い詰められて苦しくなってしまうので、「8%くらいになるように頑張ろう」のモチベーションでいました。100%を目指さない代わりに、みんなができるところ=落としてはいけないところはやりきる心がけでした。
答練の成績も直前期の後半まではほとんど平均点前後で、上位30%に入ることはほぼありませんでした。それでも他の人ができるところができれば自ずと成績はついてくるので、あきらめずに続けることが大事と思います。
体調管理に気を付け、適度に運動し、適度に遊んで気分転換しながら、受験生活をぜひ乗り越えてください。
