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合格体験記2020.07.22

30歳からの受験奮闘記

#####岡田さんのキャッチコピー#####
釜本 啓二(シニアスタッフ)
令和元年8月入社
シニアスタッフとして活躍中の釜本の合格体験記です。

事業会社へ就職後、30歳で税理士を志す
 私はもともと税理士になりたいと思っていたわけではありませんが、大学の時から資格試験を考えている人が周囲に多くいたため、自然と士業の仕事を身近に感じるようになっていました。ただ、資格試験に合格するには何年もかかるイメージがあったため、若いうちにまずは思いっきり働いて、勉強したくなった時に始めればよいかなと考え、大学卒業後は大手不動産会社に就職しました。就職先は激務で、また営業職に就き、競争を促す文化があってなかなか大変な環境でしたが、社会人としての基礎を学ぶには非常に良かったと思います。

 サラリーマン生活にも慣れ、そろそろ士業を目指そうかなと思い始めた頃、税金は不動産業を行うなかでも身近に取り扱うもので、それなりに需要があると思いましたし、また数字を扱うのが嫌いではなかったため税理士を志すことを決め、専門学校の簿記論・財務諸表論の通学講座を申し込み、勉強をスタートしました。

受験プラン
 税理士試験の受験期間は長期にわたります。私の能力・やる気では働きながら全科目に合格するのは厳しいとわかっていました。そのため、一旦仕事はアルバイトにして働く時間を抑え、勉強時間を確保できるようにし、ある程度勉強した後、会計事務所に正社員として入るというプランを立てました。勉強を始めた当初は、3科目受験後に就職活動をしようと考えていましたが、簿記論、財務諸表論を受験したあたりで早く働きたくなり、結局この2科目受験直後に、会計事務所に就職しました。幸いなことに初受験で2科目合格でき、そのまま短期合格を意識するようになりました。ただ、働きながら税法2科目同時合格はキツい。一方で、1年に1回の受験で1科目しか受けないのはリスクがあると思い、毎年2科目を受験し、そのなかで本命科目とチャレンジ科目に順位付けして勉強するようにしました。

紆余曲折した科目選択
 税法科目を選択するにあたり、実務では法人税の申告書作成に関わる部分が仕事の大半を占め、また範囲も広いということで、法人税法を選びました。また同じく実務でよく使用する消費税法の勉強もあわせて開始しました。ただ、この時は税理士業界に足を踏み入れたばかりで、法人税・消費税以外にも覚えることが多くあり、また法人税のあまりの範囲の広さにくじけてしまい、消費税法だけ勉強することにしました。しかし、消費税法に的を絞ったものの、税法受験が初めてで、理論暗記のコツが全くつかめず、満足な準備もできないまま受験当日を迎え、あっけなく不合格となります。次こそはと、法人税法・消費税法を試験後の9月から同時に受講して何とか試験まで頑張り、消費税は無事合格しました。その次の年では、法人税法だけに専念し、受験するも不合格となります。
 法人税が不合格となった時は、勉強も実務経験も3年ほどたったころで、実務で困らないほどには法人税法の勉強はできていました。試験勉強は税理士業を行ううえでの手段(修行)としてしか考えていなかった以上、また法人税法を猛勉強する気にはなれませんでした。

 ところで、税理士試験は試験後から合格発表前までの期間が長く、結果を知るまで4か月ほど待つことになります。この9月~12月の間は、私にとって気分転換となり、8月に受けた科目が受かっていたらと勝手に想定して、他科目の勉強を行う時期でした。法人税法受験後は、所得税法の勉強を始めていました(その前の年は相続税法を受けています)。そして所得税法の勉強が慣れ始めてきた頃に、法人税法不合格の通知を受けて、現実に戻ることになるのですが、もう法人税法の勉強をしたくなかったため所得税法に受験を切り替えることにしました。切替後の年の受験では所得税法に落ち、自分は何をやっているんだ…という気持ちになりましたが、(保険とはいえませんが)大学院に通うことも視野に入れ、また会計事務所を変えたことで気持ちもなぜか楽になり、所得税法と、また所得税法と範囲がほぼ重なる住民税を受験して2科目合格し、無事官報合格となりました。

学習方法(全般)
 学習は主に平日夜と土日です。家ではまったく勉強できないため、平日夜はカフェや喫茶店で音楽を聴きながら行い、土日は最初カフェで行っていましたが、より勉強に集中できる環境を求め、専門学校に通うようにしました。専門学校にはなるべく朝早く行き、前のほうに陣取るようにしていました。また、私は集中が長く続かない性格のため、細切れの勉強を意識して行うようにしていました。あらかじめ理論マスターの一部をコピーしたり、写真に撮っておいたりして、電車のなかでもとっさに見れるようにしていました。

 勉強内容として、具体的には、税法科目の勉強時は土日に講義を受け、平日の夜にその講義の復習にあてるというスタイルで行っていました。予習はしていません。講義を一言一句聞き逃すまいと、しっかりメモを取り、わからない点は講義後に質問してその場で解決するようにしていました。勉強中の唯一の自慢ですが、講義中にウトウト寝てしまったことはありません。そのくらい受講には力を入れていました。
 講義で得た情報は一つのものに集約することを心がけていました。理論マスター・ポイントチェック(テキストをまとめたもの。計算用)に必要な内容はすべて書きこみ、それらを繰り返し読んでいました。受験当初は、新たに間違いノートを作っていましたが非効率のため、税法勉強時からは作らなくなりました。また、講義の途中で、蛍光ペンでマーカーを引くのもやめ、直前で大事なところのみ引くようにしていました。最初のうちはすべてが大事だと思い、マーカーを引きすぎて何が大事だったり、間違えやすかったりするかがわかりづらくなったためです。理論マスターへの補足・書込み等も鉛筆で行い、不要なメモは途中で消して注意点の記載を最小限にするよう心がけました。

 また、勉強内容の重要度も途中で変わってくることに気づきます。特に、一般的には大事なところでも完全に理解しきってしまったものはもう大事ではなくなりますし、逆に目立たないけれども自分にとっては苦手とする論点は目立たせる方が良いと思います。あとで短時間で復習する時に役立つものになるかを意識して工夫することで直前期に効果を発揮すると思います。

 計算でも理論でも、自習中に手を動かすことは極力控えるようにしていました。電卓をたたくことや、理論を用紙に書くといったことは時間がかかる割に成果が出にくいと思ったからです。その代わり、計算は最初のうちは解説を読んで計算体系を覚え、理論は問題を見て柱が上がるか、内容がおおよそ書けそうかといったことを考え、漠然と読み過ごすことにならないようにしていました。

 試験では何を問われているのかがわからないような問題が出る一方、専門学校の問題を勉強していれば点がとれる問題が出ます。そのため、勉強していないから低い点数となった答練や模試の得点に悲観的になることはありませんでした。勉強していないことに対して反省はしていましたが…。

<計算>
 計算は、合格点に達するくらいまで勉強が進むと、しばらく勉強しなくても点数が落ちにくく、また一旦落ちても回復は早いため、一度計算を最後まで完成させてしまうことが大事かと思います。

 私は、ゴールデンウィーク(以下、GW)までに完成させることを目標にし、GW前までは、基本テキストの内容でわからない点がないようにすることに努めました。また、計算の勉強開始時は問題を解こうと思っても解けないため、問題を眺める程度にとどめ、すぐに解答を読み計算式の理解に時間を費やしました。その後、ポイントチェックに重要な点があれば書き込んでいました。GW前まではこれの繰り返しです。

 そしてGWに過去問に目を通し、それからは定期的に答練を解いていくというのが計算部分のおおまかな勉強の流れです。答練は、何回回す(時間を計って解く)かは意識せず、苦手論点や重要かなと思う問題があれば、それらを後日2、3回解く程度で、他の問題はほとんど1回しか解いていません。ただ、間違えた問題は、解説部分に線を引くなどして目立たせ、直前にその解説部分をひたすら読んでいました。

<理論>
 理論を覚える作業が受験勉強のなかで最も苦痛なものでした。単調な暗記作業を行っても、頭に入ってこなかったからです。社会人となり、何事に対しても考えることをクセづけられ、学生時代のテスト前には当たり前にできていた、ただ文字や数字を丸暗記するといったことができなくなっていました。

 そのため、理論の勉強は試行錯誤の連続です。最初は本1冊をほぼ覚えるといったことが嘘ではないかと思っていましたが合格者はやはり覚えていたようです。私は覚えられない…税法初受験の時は重要用語に赤、やや重要用語には青、加算・追加するといった文脈には緑、減算・控除といった文脈には黄と、カラフルな理論集を作りましたが、華やかすぎてそれらの図がまったく印象に残らず失敗しました。その後も悩み、覚えるのではなく理解することに重きを置き、GW前までは読むだけ、GW後からだんだん覚えると決めて取り組むようになるとコツはつかめてきました。

 1日にテーマを1個ずつ覚えることで、1週間で7個覚えたことになるといった方法ではなく、1日に7個読むことを7日続けるといった進め方のほうがはるかに楽ですし、定着します。また、一言一句覚えることに注力せず、各テーマや、各単元には行数がどのくらいあったか、注釈は何個あったかなどを図・イメージとしてとらえ、そのなかを最後に言葉で埋めていくといった感じで進めていくと暗記も苦痛でなくなります。

 なお、自習時には、実際に理論を書けるかを試すために答案用紙に書いたことは一度もありません。ただ、マスターの1ページだったら6分で書ける、2ページだったら12分で書けるという自分の書けるスピードは把握するなど、いざ書く時のための準備はしていました。

 また、答練での理論解答は柱上げの練習と割り切っていました。きちんと書けないことよりも、筋違いとならない、柱が上がらないことのほうが問題だと考えて臨んでいました。ほとんど覚えていない理論が出た時は、柱上げだけして解くことはあきらめ、自習していました。書けないものを振り絞って思い出して書くといった作業はあまり意味がないと思ったからです。

学習方法(科目別)
<簿記論・財務諸表論>
 簿記論は合格点が低く、50点で十分合格できると聞いていましたので、難易度が高い論点は後回しで勉強するようにしていました。

 財務諸表論は、計算は決算書作成の一連の流れが問題の中心で、簿記論に比べて予想外の問題は少ないように思います。また、財務諸表論の知識を固めるなかで、簿記論の知識も増えてくるといった側面もあるため、簿記論と財務諸表論は、絶対に同時受験すべきと思います。また、財務諸表論の理論はほとんど暗記していませんが、税法と違って丸暗記は不要といわれていましたし、実際そのとおりでなんとなく書いて受かってしまいました。

<消費税法>
 計算は、簡易課税制度や複雑な納税義務判定からも出題される可能性がありますので、あらゆるパターンの問題が出ても対応できるよう準備しておくべきです。また計算ミスが命取りとなりかねないため、電卓集計は特に丁寧に行う必要があります。

 理論については、範囲は広くないため、出題されそうな重要論点はベタですべて覚えます。また、本試験では解答範囲が複数のテーマにまたがる問題も出ることが多いため、テーマの内容を短縮して書くといった形で解答できるよう準備しておく必要があります。
 なお私が受けた時は、実際の申告書に近い形式での問題が出ましたが、この点は実務を行っていた人には有利だったのではと思います。

<所得税法>
 計算の範囲は広いですが、所得税計算の体系理解が進んでいくと得点が安定してきます。所得税法・法人税法ともに出題範囲は膨大ですが、法人税法は個別・単発論点での出題が多い一方で、所得税法は所得計算から税額計算までの流れを理解したうえでの問題が出る傾向があるように思います。

 理論はDランクからもよく出題されますので、何が出ても書けるようにしておく必要があります。理論ドクターが特に大事で、本試験でも似たものが出たため、問題を見た時に心の中でガッツポーズしました。

<住民税>
 計算・理論ともに、所得税法と試験範囲が重複するところが多く、所得税の計算が得意な人は特に合う科目だと思います。
理論は所得税法と重なる内容も多いし、実際に出題されます。また、所得税法との違いも把握できるため両科目の理解も進みます。
 1月からの勉強開始でも十分間に合います。理論は7個程度覚え、法人住民税の計算・理論は一切手をつけない(オススメはしませんが)で合格できました。時間がなくとにかく1科目税法科目を合格したい方にはオススメの科目です。

受験当日
 試験日は今まで勉強してきた理論マスターやポイントチェック、答練の解説の重要と思うところをサラッと読んで臨んでいました。問題を解く際はとにかくリラックスすることを心がけ、計算、理論を解く順番も決めず、全体を眺めて難易度や、書ける量など考えていました。また、計算では部分点狙いでコメントをやたらと付けたり(とある科目では解答が読み方次第でどっちにもとれると思ったので、(1つはかっこ書きにして)2つ解答を書きました…が合格しました)、理論では、重要ではないと思う部分は「一定の~」を使って文章を省略したり、表現の順序等に悩む場合は箇条書きにしたり、とにかく短時間で、わかってるんだぞというアピールをするようにしました。見当はずれの解答はどれだけ分量があってもゼロ点ですし、時間も取ってしまうため致命的です。そうなることだけは絶対に避けなければなりません。

おわりに
 私は、6回受験して試験を終わらせることができました。働きながら税法科目を受験していましたが、なかなか思うように合格しないし、実務と試験勉強の内容の違いに悩まされたり、受験していない科目のほうが気になったり、そもそも勉強(特に理論)が面白くないと思ったり、さまざまな感情に振り回されながらの受験生活でした。

 ただ、試験勉強を終えた今は、計算体系が一通り頭に入っていることで自信をもって顧客の前で話ができたり、理論の勉強をしていたから、税法の条文を読む時の難解さが少し和らいだりと、勉強が役立つ場面も多々あります。税理士業を行ううえでの知識の土台は、(当たり前ですが)試験の計算・理論の学習を通じて培われた気がします。今でも会社のデスクの引出しには、理論マスターやポイントチェックがあり頻繁に読み返しています。
 私の初受験は30歳の時で、決して若くはない年齢でのチャレンジでした。実務と試験勉強で得た知識の関連付けや、合格点を取るための効率的な勉強方法にはこだわってきたつもりですので、この体験記が一人でも多くの受験生のお役に立てば幸いです。

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